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2012年02月07日

紛失した娘-空木恍太郎

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前回書いたが「ラティラハスヤ」の後半に収載されている、日本のお色気小説「紛失した娘」は、ある村の祭りの夜に、村でも評判の美しい娘が姿を消し、その娘が再び姿を現すまでの一日の物語なのだが、どちらかと言うと物語の主軸になっているのは、村の名家の出身で、美丈夫、裕福な若い医者の女性遍歴である。

学生の頃、世話になった下宿の人妻から始まり、美しい妻、十七になったばかりの小間使いと、次々情を交わすが、なにせイイ男なので、誰にも恨まれず、複数の女性に慕われたまま、また新しい女性が蒲団の隅に座って声をかけてくれるのを待っている、といった具合だ。

誠に男にとって都合の良い話なのだが、かの男が金も地位もあり性格が良く、且つイケメンに限るシチュエーションであろう。

昔のお色気小説なので、表現は今から見ればだいぶソフトで微笑ましいとさえ思えるし、女と床に入ったあとは、さっくりと話しを飛ばし、朝になっているのが常である。

では、妻が病気療養で留守の折り、手伝いにきた十七歳の娘とうっかり一緒に風呂に入ってしまい、そのあと一緒に寝る話しを決めてしまったくだりから抜粋してみよう。
お楽しみ頂きたい。





空木恍太郎著 紛失した娘 昭和二十三年 刈谷書店

 二 ほころびる蕾 抜粋


 自分の行ひに一寸反省めいた気持ちが動くのだったが、お登喜がもうその積りになって、恥らひながらも何かたのしさを期待してゐるやうな様子を見ると、今更冗談だとも言へなかった。

「さあ、寝ようか」と言ふと、お登勢は四邊に耳をすますようにして
「あかりをどうするの?」ときく。
「そのままでもよからう」と手を取って引き寄せると、
「あれ…」と男の体に倒れかかりながら、「こはい」と小聲で言って、息をはづませた。
 
 床の中に入って見て、浩平はお登勢の体のどこもかしこも、女としてのしたくが十分にととのってゐることに、新しい発見をしたようなきがした。
 もっちりと盛り上がった乳房も、ふくらんだ腰も、やはらかい股も、すべてがもう湯殿で抱いた時よりも一層大人びてゐて、小娘といふよりも成熟した女を思はせた。
 そして男が今にもいどんでくる或る事に恐れと期待をもつやうな悩ましい息ざしをして男の胸に引き寄せられてゐるのだった。
posted by 風花散人 at 23:46| 東京 霧| 表現の彷徨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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